外国文学・・・特に現代アメリカ文学というと、ポール・オースターをあげる人は多いのではないかと思います。この『ムーン・パレス』はその代表作に数えられているものの1つです。
>>人類がはじめて月を歩いた夏の年。
コロンビア大学に通う大学生のマーコ・フォッグは、唯一の肉親であった伯父を失う。
物心ついた頃には父はおらず、母も事故で亡くしてしまった彼にとって、
伯父は自分と世界をつなぐ唯一の存在であった。
その存在がなくなり、絶望したマーコは、少しずつ生きることを放棄しはじめた。
もっているものを全て売り払い、あちこちを放浪しはじめるマーコ。
公園で野宿生活をしていて、知らない人から野球に誘われたかと思えば、
不良や酔っぱらいに襲われそうになるなど、ほぼホームレス青年状態。
そんな中、雨ざらしでぼろぼろになったところを辛くも友人に助けられる。
そして友人と暮らすうちに体力を取り戻し、そこで見つけた老人介護の仕事をするにつれ、
自分の家系の思いがけないルーツを見つけていく・・・。
この小説においてはあまり内容を詳しく言うことはできませんが、
実は上記の内容でまだ前半なのです。
ここではマーコの極貧生活がつづられるわけですが、この時の回りくどさ
(マーコが自分を取り囲む世界をどう捉えているか、を表しているわけです)に、あまり読む気が起こらなかったことは否定できません。
しかし!後半は今まで隠されていた事実が明らかになる過程があります。
また、
「ここまできてそうするの!?」という
驚きの展開があり、ドキドキしながら読めました。
(ただ・・・ちょっとこの終わり方が腑に落ちない気持ちもあります)
どちらかといえば、本を読み終えた時ではなく、読み終えて閉じてから、自分の中に底知れぬ何か・・・
(これは『感動』と言っていいんでしょうか。安っぽく聞こえるのですが・・・)があるなと思わせる小説です。
その何かが・・・
なぜかひどく高尚なものに感じるのです。
なんなんだろう・・・良くわからない。
私にはまだ分からないのかもしれない。
以下、既に内容を知っている人向けに書いたおまけの文章です。
読んでない方は注意してください。